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慢性腎臓病(chronic kidney disease; CKD)


①CKDってどんな病気?  ■②どうしてCKDになるの?
③CKDを治療しないとどうなるの?  ■透析療法とは?  ■血液透析

①CKDってどんな病気?

 CKD(慢性腎臓病)は、腎臓の働きが低下した状態をいいます。
 しかしながらCKDは痛いとか熱が出るなどの特徴的な症状がないため、気づかれにくいです。日本では推定1,300万人(成人のおよそ8人に1人)いるとされています。
診断基準は以下になります。
(1) 尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか
  ―特にタンパク尿の存在が重要―
(2) 腎機能 推算糸球体濾過値 (eGFR)<60 (mL/min/1.73m2)
(1), (2)のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する場合をいいます。
日本人のeGFRは194×(血清クレアチニン)-1.094×(年齢)-0.287 (女性は×0.739)
の計算式で求め、尿たんぱく(もしくは尿アルブミン)量の程度から、重症度のステージがわかります(以下の表参照)。

慢性腎臓病の重症度分類

(日本腎臓学会編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023,東京医学社,2023年,4ページ)

②どうしてCKDになるの?

 腎臓そのものの病気、糖尿病、高血圧などの生活習慣病、心不全などの他の病気、薬の副作用、加齢など様々な原因で起こります。高齢化社会の進行に伴って増加しています。

③CKDを治療しないとどうなるの?

 CKDを放置すると、腎臓にある糸球体(血液から尿を濾過する場所)や血管が痛めつけられ、腎臓の働きがどんどん悪くなります。同様に全身の血管も傷つき、心臓病や脳卒中などの心血管の病気が起こりやすくなります。特に心臓が悪くなる、いわゆる心不全の状態になると腎臓に送られる血液量が減るため、腎臓がさらに悪くなります。このような悪循環が続くと自分の腎臓では生きていくことが難しくなり、すなわちこの状態を末期腎不全といいます。

透析導入の基準

透析療法とは?

 腎臓に代わって人工的に腎臓の働きを代行する治療が透析療法です。末期腎不全の状態でも透析療法を受けることにより生きることができ、ある程度までは普通に生活することが可能になります。ただし透析療法は腎機能を回復させる治療法ではなく、また腎臓の働きを完全に補う治療法でもありません。さらに腎移植を受ける場合を除いて生涯継続する必要があります。
 透析療法には、血液透析(hemodialysis; HD)と腹膜透析があります。日本では血液透析を受けている患者が圧倒的に多く、ここでは血液透析の仕組みについて述べます。

血液透析

 通常、腕の血管(バスキュラーアクセス/シャント) に針を2本刺し、血液をポンプで体外に取り出し、ダイアライザー(透析器)に循環させて尿毒素/老廃物の除去、必要な物質の補充、余分な水分の除去を行った後に、体内へ戻します。その際に体外で血液が固まらないように主にヘパリンなどの抗凝固剤を使用します。血液透析は標準的には1回3-5時間で週3回行います。
 血液透析の原理は、①拡散と②限外濾過です。
 ①尿毒素/老廃物の除去と必要な物質の補充は、半透膜の膜孔を通過できるものであれば、濃度の高いほうから低いほうに(同じ濃度になるまで)移行することによって除去されます。この原理を拡散といいます。
 ②小さい分子である水は透析膜を容易に通過するため、血液側と透析側の水圧差によって、血液側から余分な水を除去すること(除水)ができます。この原理を限外濾過といいます。

(日本腎臓学会・日本透析医学会・日本移植学会・日本臨床腎移植学会・日本腹膜透析医学会編:腎不全 治療選択とその実際,2023年,14ページ)

(日本腎臓学会・日本透析医学会・日本移植学会・日本臨床腎移植学会・日本腹膜透析医学会編:腎不全 治療選択とその実際,2023年,14ページ)


 効率の良い血液透析(至適透析あるいは適正透析と言います)を行うには、1分間に200-300mLの血液をダイアライザーに送り込む必要があります。これだけの血液量を確保するために、一般的には手首に近い動脈と静脈を手術でつなぐことによって、動脈の勢いのある血液を静脈に送ることで静脈自体が太くなります。これを内シャントといいます。
 いくつかの理由で内シャントを作ることができない場合には針を刺しやすいように動脈を持ち上げる(表在化)、人工血管を作る、あるいはカテーテル留置などで血液透析を行います。

(日本腎臓学会・日本透析医学会・日本移植学会・日本臨床腎移植学会・日本腹膜透析医学会編:腎不全 治療選択とその実際,2023年,15ページ)


参照
腎不全 治療選択とその実際 日本腎臓学会 日本透析医学会他
腎・泌尿器 成人看護学 医学書院
透析療法マニュアル 信楽園病院腎センター 改訂第8版 日本メディカルセンター


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